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高速導電パターン高速転写(HSP)方式について

太陽機械製作所独自の「導電パターン高速転写技術 HSP方式(High-speed printing)」により、速乾性の銀インキを輪転機でのフレキソ印刷で使用することが可能になりました。

これにより、フィルムなど薄く柔軟性がある素材に銀インキで電極回路を印刷して作る「極薄センサー」を高速・大量・低価格で製作することが可能になりました。

Roll to Rollとは

効率良く量産する手法の1つで、ロール状に巻いた長さ数kmのフィルムに回路パターンを印刷し、ロールに巻き取ります。検査や封止、小片化等の後工程も、sheet状のフィルム基板を使う場合に比べ、搬送にかかる手間を省くことができ、また、装置の規模も小型にできます。


太陽機械製作所は、Roll to Roll方式の印刷機の専業メーカーです。太陽機械製作所のオーダーメイド印刷機は、印刷部の後ろの加工部が特徴です。お客様のニーズに合わせて、ラミネート、封止フィルムの圧着、縦・横スリット、ハーフカット、折り、重ね等の様々な加工を組み合わせます。



※ 太陽機械製作所は、1961年(昭和36年)の創業以来、お客様と一緒になって数多くの印刷機を開発し、ビジネスフォーム印刷機やラベル印刷機をオーダーメイドでご提供しております。印刷業界が変革する中、難易度の高い特別なニーズにも常に前向きに取り組み、お客様の信頼を頂いて参りました。

ー 50 m/minでの電極印刷 ー
フレキソ(凸版印刷の一種)+Roll to Roll


フレキソ印刷とは

フレキソ印刷とは、凸版印刷の一種で、柔軟なゴムや樹脂で作られた版にインキを付着させ、紙やフィルム等の基材に転移させる方式です。溶媒系ではなく水性の粘度の低いインキを使用できることから、環境や人体への影響が小さいSDGs時代の印刷方式として、注目されています。


金属ロールの版に比べ、樹脂版はコストを抑えて速く製版できますので、「多品種小ロット」にも対応できます。

段ボールから不織布等の凹凸のある素材にも、綺麗に印刷できる点も特徴です。

膜厚コントロールは、オペレーターの熟練度に依存するのではなく、アニロックスロールから均一に供給されるインキ量で決まります。


また、ロール本数が少ない単純な構成ですので、作業負担も抑えられ、オペレーターに優しい印刷方式です。


速乾性銀インキについて

水性の銀インキは、環境に優しく、低温焼成で高い導電率が確保できる反面、インキの目詰まり等の取り扱いの難しさが課題でした。

太陽機械製作所では研究と量産実証により、速乾性インキをなめらかに供給する独自の印刷技術を開発し、乾きの早いインキを使用した際に起こる印刷機の目詰まり問題を解決しました。

インキの膜厚を一定にするために、インキを供給するアニロックスロールが目詰まりを起こさないこと、版面でインキが乾燥しないことが重要です。




参考値:印刷電極の表面抵抗値

太陽機械製作所の今後について

パソコンやスマートフォンなど、人が操作する従来のインターネット接続端末に加え、家電や自動車、ビルや工場など世界中の様々なものがネットワーク経由してサーバやクラウドシステムへつながり相互に情報をやりとりするIOT(IoT:Internet of things、モノのインターネット)時代になり、IOTデバイスと呼ばれるインターネットにつながるものの量は爆発的に増えていくと言われています。

ウエアラブル機器を使った健康管理、人による作業が困難な場所での保守・管理、自動化による人手不足への対応や効率化、物流トレーサビリティの実現など期待される活用シーンはどんどん広がっています。

IOTデバイスは相互に情報をやりとりする通信機能だけでなく、その場の状態をセンシングするセンサー機能を必要とするものも多く、用途の広がりとともに適用範囲を広げる薄く柔軟なセンサーや量産可能な低価格性へのニーズが高まっています。

当社は、IoTデバイスによる社会課題の解決を目指す様々な企業様との共同研究や試作開発を積極的に展開し、極薄センサーをはじめ、印刷技術を生かして新たなIOTデバイスの開発に貢献して参ります。





商流イメージ

山形大学 有機エレクトロニクス研究センター 時任静士教授のコメント

近年、新しい電子デバイスのものづくりとして印刷技術を用いる方法が注目されている。プリンテッドエレクトロニクスと呼ばれる技術である。従来のものづくりと比較し、薄く柔軟なプラスチックフィルムを基板として使うことで、新たにフレキシブルな電子デバイスが実現できる。当研究室はこの分野で、印刷技術、印刷可能な材料の開発、印刷型有機薄膜トランジスタ (TFT)およびその集積回路、各種の印刷センサー、さらにはその応用技術まで網羅した研究開発を行ってきた。

IoT社会では、膨大な数の多種多様な低コストセンサーが必要となる。工場・現場のインフラ情報、物流の品質管理における温湿度情報、ヘルスケアや医療分野の健康状態などのデータを吸い上げて、生産性や安全性の大幅な向上、さらには健康管理に活用される。これらのデータ収集の社会ニーズに応えられるのが、プリンテッドエレクトロニクスであると考える。

太陽機械製作所とは、経済産業省の橋渡し事業や共同研究を通じて低コストセンサーの量産につながるプリンテッドエレクトロニクスの開発を行ってきた。本量産技術もそのひとつであり、この技術によりIoTデバイスの実装とその利用場面がさらに広がることを期待している。(2022年3月、山形モノづくりネットワークセミナーにて)